心の復興
「今日で10年だね」
今朝、親方がぼんやりつぶやきました。
親方は普段から東北のことを話します。
つい最近も震災後の東北に出かけていったときの話をしたばかりです。
「あの状況の中、2012年に若い夫婦が開店した「塩竃 市場食堂」って店があってね、今でも元気に市場を盛り上げているのが嬉しい。会いに行きたい。あの海鮮丼は美味しかったなぁ」そう言ってお店の写真を見せてくれました。
親方は家電を購入するときは殆どアイリスオーヤマにしているとか、取り寄せは東北の物を最優先にしているとか意識してそうしているようです。
「被災者の方々に寄り添い、助ける!なんてカッコつけて善人ぶるつもりなど毛頭なく。近い将来必ずやって来る東南海地震で静岡がメチャクチャになった時、東北の人に助けてほしい。明日は我が身。困った時はお互い様。だからその時までに東北の復興が完了して元気になっていてほしい。それだけだよ。」
そんなふうに言っている親方。
とてもわかるけど、他に何か特別な思い入れがあるように見えて。
思い切って聞いてみました。
「東北に木村屋ってお店があってね。先輩のお店なんだけど。奥さんの実家のイチゴ農家も壊滅状態になってね、イチゴのお菓子がなかなか作れなかったんだ。今ではイチゴ農家も木村屋も元気に復活してる。コロナ禍終息後には会いに行きたい。同じ釜の飯を食った「東北の兄弟」との再会が待ち遠しいよ」
復興。先輩のお店は元のように営業できているようですが、あの時の怖かった記憶も不安や傷みも親方の中にもそして私たちの中に今でも残っているわけです。
では実際に被災された方たちの心はどうでしょうか。
街の風景は少しずつ取り戻していけても心の復興はどうなってるのか
桜が咲く季節、きっとこの春風を感じるときに無意識に心にあの日の記憶を想起させます。
10年。時間では解決できない心の傷みについて考えてしまう一日でした。
最後まで読んでくださりありがとうございました。心を寄せ合い明日からまた頑張りましょう
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